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第96話 大ニュース重ね盛り

Auteur: あるて
last update Dernière mise à jour: 2026-01-22 14:00:27

 ほどなくして、本当にびっくりするくらいの速さでうちに到着したきらりさん。タクシーを捕まえてぶっ飛ばしてきたとか言ってるけど、どんな無茶を言って来たのやら……。タクシーの運転手さんが可哀想だ。

 そしてうちに着くなり琴音ちゃんに噛みついていった。

「ちょっと! ゆきさんのお嫁さんの座はわたしのもんなんだからね! 後から出てきて勝手なこと言わないでくれるかな?」

 威嚇しながら顔を近づけるきらりさんに対して琴音ちゃんは余裕の表情。てかきらりさんまでお嫁さん宣言しちゃったよ。

「後から出てきたのはそちらですよ。わたしはゆきちゃんがまだこんなに小さいころから大好きだったんですから」

 膝くらいのところに手をかざして主張する琴音ちゃん。いや、そんなに小さくねーよ。どこの小人だ。

 両者一歩も譲らずの状態でにらみ合っている中、姉妹たちは少し離れたところで秘密会談を行っていた。

「おい、なんか増えちまったぞ。どーするこいつら」

「塩でもまいて追い出しますか」

「賛成」

「ゆきちゃんの友達に乱暴なことしちゃダメだってば!」

 丸聞こえだよ、4人とも。

 だんだん収集がつかなくなってきたような気がする。このカオスな状況をどうしたらいいんだ……。

「あのーみんな好き勝手なこと言ってるけどさ。わたしは何も了承してないんだよ?」

「「ちょっと黙ってて!」」

 いやおかしい! それはおかしいよ2人とも! 本人不在で勝手に話を進めないで!?

 なんだこの理不尽な状況は。

「2人とも勝手なこと言ってると今すぐ帰ってもらうよー」

 最終手段。姉妹たちの手を煩わせるわけにもいかないし、わたしが追い出すしかないだろう。

「「イヤだ!」」

 息ピッタリじゃん。本当は仲いいんじゃないの?

「今日はゆきちゃんのおうちに泊まるつもりでお泊りセットも持ってきてるんだよ!」

 また勝手に決めて……。

「そう

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